広島文化学園HBGホールで行われた広島交響楽団の「特別定期演奏会 下野竜也 音楽総監督ファイナル」を聴きに行きました。今の役職で指揮する最後のコンサートとのことで、就任時に演奏したブルックナーと、細川俊夫「セレモニー ― フルートとオーケストラのための」を組み合わせたプログラムが素敵でした。
細川俊夫「セレモニー ― フルートとオーケストラのための」はソリストをシャーマンに見立てているとのことでしたが、これまでに聴いた細川作品にはなかったような、オケ中のフルートがソロを模倣していたりといった動きが多かったり、現代奏法の連続で常軌を逸したようなフレーズだったりで、まさにオーケストラと観客をつなぐシャーマンだと感じました。曲全体が祭式を意味するタイトルをよく表しているなと、どう考えて作曲されているのだろうかと気になりました。
ブルックナー8番は前回聴いた7番と同様に、しっかりした古典的な形式を持ちつつも、内部では自由に動き回っていて、響きも厚い部分が印象的に使われ、ブルックナーらしさとはこういうことかと感じられる曲でした。圧倒的な熱量が刺激的で、同じパターンを繰り返す長い曲ですが、その長さを感じさせない演奏でした。
音楽監督として下野竜也 氏が在任した期間で良かったなと思うことは、現代音楽を多く取り上げてもらえたことと、配置だったりプログラミングだったり、意味のある挑戦的な活動が多かったということがあります。どういう意図があるのだろうかと考えながら演奏会を楽しめる、とても面白い期間でした。
- 指揮:下野竜也
- フルート:上野由恵
- 細川俊夫:セレモニー ― フルートとオーケストラのための
- ブルックナー(生誕200周年):交響曲第8番ハ短調(ハース版)