角幡 唯介「漂流」を読みました。37日間の漂流後、再び海に出て遭難した漁師の物語を軸に、遠洋漁業や海に関わる地域の歴史を織り交ぜ、昔の漁師がどのような生き方をしていたかを、生き生きと描いていました。
ちょうどハワイ島という太平洋の真ん中へ行くので、太平洋の真ん中で漂流した話を読もうと持っていきました。ただ、飛行機の中でも寝ている時間が多かったですし、あまりゆっくりと本を読んでいる時間はなく、鞄の中でカバーがボロボロになっていくだけでした。日本に帰ってから、そろそろ読み切らなければと本を開き、少しずつ読み進めていきました。
取材の内容に憶測を交えて、遭難した人柄に迫っていましたが、冒険家としての著者はマグロ漁船に同乗させてもらった程度にしか顔を出さず、海の民族に焦点が当たっていますし、どちらかというと普通の人がインタビュに答えているので、退屈に感じる部分も多くあります。それでも、海と共に生きるというのはどういうことかを考えさせるには、とても良い本かと感じます。水が好きで、海によく接しますが、たまに接するのと、その中で生きることは全く違うなと改めて思い直すことに留まらず、人間の生き方についても考えさせられる本でした。


漂流