エリザベト音楽大学のセシリアホールで開催された「トマシュ・リッテル フォルテピアノリサイタル」を聴きに行きました。大学に眠っていた、1,840年前後に製作されたAnton Tomaschekを活用されたコンサートで、この日へ向けた楽器の修復に関しても、調律師の馬場 行正氏が一部を公開されていました。
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演奏は音の綺麗さが際立ち、特にショパン等はこれまでに聞いたことのないような音の拡がりがありました。現代的なピアノと比べると雑音や倍音も多く、そういったところも含めて大らかさを感じますが、こういった楽器だからこそ効果的な音型があるのだなということに初めて気が付きました。現代のピアノでは音が均一で引き分けが難しそうな部分も、自然と分離して聞こえることがあり、こういった特性も踏まえて作曲されているのかと思います。演奏が素晴らしいのはもちろんですが、それ以上に刺激的なコンサートでした。

- モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第6番 ニ長調 K.284
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
- メンデルスゾーン:無言歌集よりデュエット、羊飼いの嘆き、巡礼の歌
- ショパン:バラード 第1番 Op.23
- ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80