高橋 大輔「ロビンソン・クルーソーを探して」を読みました。ロビンソン・クルーソーのモデルとなったアレキサンダー・セルカークの生涯について調査し、無人島での生活の拠点となっていた場所を特定する記録。冒険という活動が、多くの調査と想像力に基づいた圧倒的な行動で成り立っているのだなということが伝わってくる、スピード感のある知的な冒険小説でした。
「冒険」という言葉からは、かなり危険な状況に身を置くというニュアンスを感じますが、この本の場合は現地踏査で山へ入って行ったことがそれに当たるのかと。ロビンソン・クルーソー島は最高標高が915m程度で、地形図を見ても島の南側へ行かなければ危険そうには思えない、現在は人が住んでいる小さな島です。国立公園になっているので、レンジャーも山に入っていますし、未到の地へ踏み入っていくという冒険とは違います。あくまでもアレキサンダー・セルカークに関する研究の一環で、現地調査をしたという印象です。
まだ知られていない、新しい事柄を探求するというのも、ある意味での冒険ですね。


ロビンソン・クルーソーを探して (新潮文庫 た 70-1)