秋吉台国際芸術村で行われた「秋吉台の軌跡~新しい音楽を求めて~」を聴きに行きました。開村25周年を記念して、これまで開催されていた現代音楽のセミナにちなんだ曲を演奏するコンサート。これからの芸術村のあり方を思索する機会としても捉えられているようで、山口県ではなかなか聴く機会のない意欲的な内容になっていました。
当日は早く到着したので、演奏者に近い位置で聴かせていただきました。無伴奏曲も多く演奏されたので、音が聞きやすいこの場所を選んで良かったかなと。曲としては細川 俊夫「ヴァーティカル・タイム・スタディI」での、楽器を重ね合わせた時の響きの変化が面白く感じました。また、湯浅 譲二「クラリネット・ソリテュード(2009)」での、バス・クラリネットソロなのに、響きの中から新しい響きが湧き上がるような作りが新鮮でしたし、多くの奏法を盛り込んでいるのに魅力的な音楽として成立しており、バス・クラリネットの魅力を堪能することができました。
これだけ魅力的な曲と演奏者が集まり、25周年を記念して開催されたコンサートなのに、お客さんが少なかったのは残念でした。音楽をしたいと考える人にはぜひ聴いていただきたかったコンサートでした。また、演奏中にセミの鳴き声や、空調によるラップ音のようなノイズが多く入ってくるのも、現代音楽を想定して作られたホールとしては残念でした。どちらも簡単には対策できない部分なのかもしれませんが、これからを考える上で何か予算がつくといいのですが。
- 山根 孝司(Cl.)
- 村上 景子(Fl.)
- 山澤 慧(Vc.)
- 安田 結衣子(Pf.,Toy-pf.)
- 松平 あかね(お話)
- 湯浅 譲二:内触覚的宇宙
- 近藤 譲:「接骨木の新芽」の3つの歌
- 細川 俊夫:ヴァーティカル・タイム・スタディI
- 徳永 崇:鎧の着け方
- 湯浅 譲二:クラリネット・ソリテュード(2009)
- 河添 達也:異考共生の断片I(2018)
- 成本 理香:The Sound of the Sea – 海のざわめき 〜 フルートとトイピアノのための
- 松平 頼暁:無伴奏チェロのためのKei
- 山根 明季子:Re-Collect 他