2年前に「CCC」へ出場した時に会った選手が「景色はTDSが最高」と言っており、その時から出場を決めていたレース。コースがテクニカルだと聞いていたので、昨年はまだ対応できないかなと思っていたのですが、色々な所を走って来たので試しに出場してみることに決めました。景色が開けている場所ばかりなので、とても良い景色をずっと見ながら走ることができます。確かにこれまで走った全てのレースの中で最もきれいなコースでした。
結果は半分ちょっと走ったところで救護活動のお手伝いをしていて、そのまま関門時間に引っかかってしまいました。もう少し早く進んでおけば、お手伝いが終わってからもレースに復帰できたかなと思うので、ゆっくり進みすぎたことを反省です。それでも天気がとても良く、最高の景色を見ながら走ることができました。
「CCC」と比べ、確かに「TDS」は少し難易度が上がる気がします。ポールを収納して手を使わなければ滑落しそうな場所もありますし、上り下りも「CCC」より一つ一つが大きい。それでも普段から山を走っている人なら全く問題ない難易度だと思います。また、「CCC」と比べて登山の要素が強く出ているような気がしました。出場している選手や応援、景色も全体的に「静か」な感じ。同じ「UTMB」の1レースですが、全く感じが違っていて面白かったです。
https://goo.gl/photos/S9BkqFq2qdDvnHGf8
大会概要
- 大会・・TDS(Sur les Traces des Ducs de Savoie)
- 場所・・Courmayeur(Italy) スタート
- 日時・・2016/08/24
- 距離・・119km(獲得標高 7,338m)
- 天候・・天気:晴れ 気温:14℃(スタート時)
- 結果・・18時間41分54秒 DNF Cormet de Roselend(66.6km地点)
区間タイム(時:分:秒)
区間 | 区間距離 | 区間時間 | 合計時間 |
Courmayeur 〜 Maison Vieille-Col Checrouit | 6.5km | 1:13:48 | 1:13:48 |
Maison Vieille-Col Checrouit 〜 Arête du Mont-Favre | 4.7km | 1:02:34 | 2:16:22 |
Arête du Mont-Favre 〜 Lac Combal | 4km | 0:38:10 | 2:54:32 |
Lac Combal 〜 Col Chavannes | 4.5km | 1:07:29 | 4:02:01 |
Col Chavannes 〜 Col du Petit St-Bernard | 16.2km | 3:20:40 | 7:22:41 |
Col du Petit St-Bernard 〜 Bourg Saint-Maurice | 14.8km | 2:36:27 | 9:59:08 |
Bourg Saint-Maurice 〜 Fort de la Platte | 5.3km | 3:34:37 | 13:33:45 |
Fort de la Platte 〜Passeur de Pralognan | 6.2km | 2:53:52 | 16:27:37 |
Passeur de Pralognan 〜 Cormet de Roselend | 4.4km | 2:14:17 | 18:41:54 |
合計 | 66.6km | 18:41:54 |
使用機材
必須装備が2年前の「CCC」と同じでかなり多いので、すべて持つとそれだけで11.5Lのザックは一杯でした。気温が30℃以上まで上がり、夜の標高2,000m以上にもTシャツだけの人がウヨウヨいるという異常な高温で、防寒関係は何も使いませんでした。
- シューズ・・montrail「Men’s Caldorado(GM2211 26.5cm)」
- シューレース・・NATHAN「LOCK LACES」
- バックパック・・Ultimate Direction「AK MOUNTAIN VEST 3.0」
- ハイドレーション・・Platypus「ビッグジップLP 1.5L」、Ultimate Direction「BODY BOTTLE PLUS」2個
- GPSロガー・・EPSON「MZ-500」
- タイツ・・CW-X「スタイルフリーボトム ロング(L)」
- ハーフパンツ・・モンベル「 トレールランニングショーツ Men’s(M)」
- アンダーウェア・・UNDER ARMOUR「ヒートギアコンプレッションステルスLSモック(L)」
- シャツ・・SALOMON「AGILE SS TEE M(S)」
- ミッドレイヤー・・finetrack「ヴェロキラップ(M)」
- ソックス・・武田レッグウェアー「TRR-120G(M)」
- キャップ・・SALOMON「XA+CAP」
- 暖かい帽子・・MOUNTAIN HARDWEAR「ゼルナビーニー」
- グローブ・・Salomon「XT WINGS GLOVE WP(L)」
- 防寒グローブ・・ミズノ「ベルグテック(a2jy410162)(M)」
- アイウェア・・OGK KABUTO「ビナートZ(スモーク)」
- ライト・・Petzl「MYO RXP」2個 + 予備電池 単三3個
- ポール・・Black Diamond「Ultra Distance(110cm)」
- ゼッケンベルト・・Nathan「Race Number Belt」
- レインウェア・・mont-bell「トレントフライヤー 上下(S)」
- 補給・・wiggle nutrition「energy gel」4個
- 補給・・PowerBar「POWERFUL SHOTS」5個
- 補給・・CLIF BAR「ENERGY BAR」1個
- 補給・・ミドリ安全「塩熱サプリ」18粒
- サバイバルブランケット・・Adventure Medical Kits「SURVIVE OUTDOORS LONGER EMERGENCY BLANKET」
- 携帯コップ・・UltrAspire「RACE CUP」
- ホイッスル・・ザック付属
- テーピング・・New-HALE「AKT 5m×7.5cm(1m分)」
- 携帯電話・・Apple「iPhone 6」
- 予備バッテリィ・・Panasonic「QE-QL103」+ ケーブル
レース展開
Courmayeur 〜 Col du Petit St-Bernard
事前にコース情報はかなり集め、コースマップもかなり見ましたし、動画もたくさん見てイメージを作った結果、36km地点の関門(Col du Petit St-Bernard)に間に合うかどうかが一つ目の山だなと思っていました。ここまでは8時間半で2,500m級の山を2つ越えていかなければなりません。
作戦としてはとにかく前の方からスタートし、1つ目の山頂(Arête du Mont-Favre)までは後先考えずに全力。下りで回復し、二つ目の山頂(Col Chavannes)へ命からがら登っていくというもの。単にいつもみたいに上りをサボらないで頑張るというだけですが、これがなかなか上手くいきました。
https://goo.gl/photos/jobrVVqhpi5LZAim8
スタートは「CCC」と同様にCourmayeurの街中。確かにとても盛り上がっているのですが、この時すでに「CCC」と比べると選手が冷静だな・落ち着いているなと感じました。比較的前の方に並び、スタート後はそれなりのペースで坂を下っていきます。6時スタートなのでまだ暗いのですが、トレイルに入るまでには明るくなっているのでライトは必要ありません。
https://goo.gl/photos/1mWdBDJHWUzqQjWb7
初めの登りはスキー場の中の林道。一つ目の関門が3時間45分で15.2km地点のLac Combalなので、ひたすら登るスキー場を頑張ります。標高差1,200mを登る内の6割程度が林道、6.5km地点のMaison Vieille-Col Checrouitという小さなエイドを挟んで、ここからは横にモンブランを見ながら進むシングルトラックの登りに入っていきます。列は出来ていますが、籔の登るスピードだと列について行ってちょうど良いくらいでした。
https://goo.gl/photos/eSVEwN6JUK5MuTND8
なんとかArête du Mont-Favreまで登り切ったところで1つ目の関門は余裕があることが分かったので、下りはとてもゆっくりと怪我をしないように下りました。シングルトラックの気持ち良いトレイルを下るのですが、やはり下りは抑えていても前が遅く感じます。抜かしたいなと思っても、しっかりと列ができているので無理でした。
https://goo.gl/photos/MGetob8uuXd1DrUU8
湖に山が反射しているほぼ平坦なところに出ると、エイドはあと少し。関門まで1時間余裕が出来ていたので、次の登りに備えてゆっくりとエイドに向かいました。登り始めは742位で、エイド着が977位。この規模の大会で上りをこの順位というのは、籔にしては驚異的です。
https://goo.gl/photos/pH8ZXfWJfoU4bS5VA
エイド(Lac Combal )での滞在は4分程度と、ほぼ水だけ入れたら出発。ここに到着するまでの林道で回復させていたので、次の山頂(Col Chavannes)へ向けて登っていきます。エイドからすでに先の登りを登っている人たちの列が見えています。
https://goo.gl/photos/DSq9i49LzuUyzaMKA
2つ目の山頂(Col Chavannes)へは約600mの登り。途中まではこれまでと同じシングルトラックの登りで、最後は九十九折の岩っぽい登りになります。上まで登ったらもっと景色が良いんだろうなと考えながら走りましたが、九十九折部分は上から岩が落ちてくることもあったので、少し注意して進みました。緊張していたのか九十九折は写真も撮っていませんでした。
https://goo.gl/photos/ZQFe9YsCHpXzmH9x5
Col Chavannesまで登りきると、今度は林道9.5kmで標高差800m下っていきます。ずっと走れる下りなのですが、とにかく林道が苦手なのできつい区間でした。写真のような景色がずっと続き、 影は全くないので暑さも追い打ちをかけてきました。
https://goo.gl/photos/qYczvUtq7fjPYKND9
この区間はルート沿いにいくつも沢があり、飲んでも大丈夫な沢もいくつかありました。上流に牧場とかがあると危ないのですが、地元の選手について行っていたので、教えてもらいながら体を冷やしながら進みました。アルプスは生水や水道水を飲む事が出来るので良いですね。籔はお腹痛くなりませんでした。
https://goo.gl/photos/YHGehvrjqAafoY7U7
下りきると、今度は牧場の中を緩やかに登っていきます。何箇所か牛の水飲み場のような所で「これ飲んでも大丈夫かな?」と思いながら水を補給。主に体にかけるだけなのですが、少し飲んでも問題ありませんでした。ツノが生えている牛も沢山いますし、向かってこられると少し怖いです。
https://goo.gl/photos/89WW7yG6sUhZFDaa8
ヴェルネイ湖岸まで出たので、これでもう心配していた第2関門(Col du Petit St-Bernard)に到着かと思っていたら、エイドは湖からほぼ100m直登した上にありました。下の湖で泳いでしまったので体が重いですし、気を抜くと転げ落ちそうな角度の登りです。でも綺麗な場所でした。
https://goo.gl/photos/12WPFPcP6Tg7wXtV6
心配していた第2関門(Col du Petit St-Bernard)には1時間8分の余裕を持って到着。この後は15km続く下りですが、下りは得意なので余裕だと思い10分間の休憩。一緒に出場したY氏とも出会ったので写真を撮り、ザックから補給食を出したりもしました。
https://goo.gl/photos/2gPyqZ9uuYxWAc7S7
Col du Petit St-Bernard 〜 Cormet de Roselend
ここから次の大きなエイドBourg Saint-Mauriceまではひたすら下り。14kmで高低差1,500を下り続けます。エイドを出てまずは綺麗な小川沿いのシングルトラック。14km下りが続くのを体験した事がないので、とにかく抑えてスタートしました。暑かったので小川に入りたかったのですが、そこかしこに牧場があったので我慢です。
https://goo.gl/photos/KuLiHyS5Quq8tg3X8
長い林道の下りを走り抜けると、今度はスキー場のような場所を九十九折で下っていきます。これから向かうBourg Saint-Mauriceの町や湖が見えてきますが、なかなか近付きません。やはり下りが続くのは疲労も大きく、暑さもあって更にペースが落ちてしまいました。
https://goo.gl/photos/g314TQhFU7KNLDRH8
ほぼ街まで降りる寸前に少し大きな川があったので、ここなら入っても大丈夫だろうと入浴。アルプスの水は冷たくて最高のアイシングになります。この後も町まで何箇所かホースで水を巻いてくれていたりしたので、なんとか暑さに耐えて下り切りました。やはり林道を走る練習が必要だなと痛感した区間です。
https://goo.gl/photos/C6ZxygJog7csYzv39
Bourg Saint-Mauriceのエイドはなかなか大きくて賑やか。随分と暑さにやられていたので、まずは体を冷やすため、背中とお腹の両方に氷を詰めてもらい、強制的に体を冷やしました。お腹が痛くなるかなとも思いましたが、ここから先は11.5kmで1,900m登る区間なので、今の状態では登り切れないと判断。エイドには25分間滞在し、冷たい飲み物をガブガブ摂取。時間も16時頃と暑かったですし、とにかく体を冷やすことだけを考えていました。
出発時には装備チェックで携帯電話、サバイバルブランケット、ライト2個を確認されました。出発は関門時間の30分前、到着が1時間前でしたので、エイドでの滞在を考えなければスタートからずっと制限時間まで1時間しかない状態が続きます。
https://goo.gl/photos/wynbGakWcDzXwWjHA
エイドを出てからの登りがこのレースの核心部。ここさえ制限時間にかからず越えられたら、もう後は何も問題ないだろうと思っていたPasseur de Pralognanへの登りです。初めは日本にもよくある樹林帯の登りで適度に影があるのですが、風が抜けないのでとにかく暑い。関門時間だけ気にしながらも、休みながら進まないと熱中症になってしまいます。
水が補給できるところも無く、体に水をかけて冷やしていると水が尽きそうになりますし、熱に弱い籔にはキツイ登りでした。九十九折が終わると今度は直登。力尽きている人が沢山、引き返している人も沢山いました。
https://goo.gl/photos/aBrhMqnudAuUQwqt7
なんとか5km登ったところにあるFort de la Platteの関門は1時間の余裕を持ってクリア。山小屋のようなところで飲み物を販売していたので、5ユーロと山価格でしたが購入しました。水はエイドに沢山あり、ここまで登れば補給する事ができます。
https://goo.gl/photos/6Z1SMHQhLvdEXpwo9
ここからは英語が話せないスペイン人3人組と進む事に。日本語対スペイン語なのですが、それでも何故か話せてしまうのがスペイン人の凄いところ。去年出場した「Ultra Pirineu」に出場していた人がいたりして、話している内に随分と進んでいました。
https://goo.gl/photos/UEXxWHUc4vMkrrtq5
岩場の下りを下ると、最後はなかなかの傾斜でPasseur de Pralognanまで登っていきます。もう暗くなっていたので21時にヘッドライトをオン、光の列ができていますが、木がないのでどこまで登るのかハッキリ見えました。ここは関門がありませんが、次のCormet de Roselendの関門まで4.3kmを2時間で下れば良いので余裕。登りで疲れた体を休ませようと係りの人と話していると、救助のお手伝いをする事態になりました。
https://goo.gl/photos/TyeEiaevMwqDivws6
救助のお手伝いは前のブログにも書きましたが、標高2,500mでも暖かかったのが救いだったかなと思います。仕事が終わってエイドを出る頃には関門まで1時間無く、体も冷えていたので次へ進むのを諦めました。体調が悪い日本人を下まで下ろしてくれということで、Cormet de Roselendまでテクテクと歩いて終了。ここからの下りは落ちそうでテクニカルでしたが、しっかりとロープが張ってあるので問題無し。夜は周囲が見えにくかったので、ロープがあると楽でした。
https://goo.gl/photos/2QNEP1V86vAmbpiQ8
体調的にも気持ち的にもあのまま進んでいたら完走できた気がするのですが、自然の中でするスポーツはやはり選手間でも助け合いが必要かなと思います。レースとしては救助で終了するという不本意な結果でしたが、とても良い体験をさせていただきました。
エイドに着いた時にはもう寂しい感じ、この後のバスがグルグルと大変だったので、絶対にリタイアしないことをお勧めします。
https://goo.gl/photos/iizubUDAyvFXsB9G6
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