広島県立美術館で開催中の「木村伊兵衛 写真に生きる」という展覧会を見に行きました。没後50年を記念して開催された回顧展には、新たに発見された、本人監修の元にプリントされた古い写真も展示され、とても見応えのある展覧会になっていました。特定の写真が気に入ったというものではないのですが、展覧会全体を通して感じたものは、これまでみた写真に関する展覧会の中で最も大きかった感覚があります。
どういったところからそのような感じを受けたか考えてみましたが、写真に写っている表情や昔の景色かなという気がします。1,930年代から1,950年代の写真が多くあったのですが、現代であれば貧困状態かと思われるような環境の中でも充実した表情をしているものが多く、現代と何が違うのだろうかと考えてしまいました。戦後、日本は急激にインフラを整備しただけでなく、行動や思考なども画一化され、それを当然だと考えてきた気がしています。写真に写っている人達の着ているものは皆同じでしたが、それぞれ個性的な人ばかりだったという気がしていて、そこが魅力的に見えたのかもしれません。